バッテリーのサルフェーションを除去する3つの方法

サルフェーションと車のバッテリー再生の3つの方法

車などに使われている鉛バッテリーは本来のバッテリーの寿命(約10年と言われている)よりも早いタイミングで劣化してしまいます。

その一番の原因は、バッテリーの電極の周りに発生するサルフェーション(硫酸塩コロイド、絶縁物質)で、それが電極を覆ってしまうとバッテリーの中からうまく電気を取り出せない状態になってしまうことだと言われています。

バッテリーがこのような状態になってしまうと、一度にたくさんの電気が取り出せなくなるため、車のセルモーターの音が弱くなったり、エンジンがかかりにくくなったりしてきます。

一般的にはバッテリーが弱ってくると新品に交換して対応するのが一般的ですが、最近ではバッテリーに添加剤を投入することでサルフェーションを除去したり、特殊なパルス充電器というもので充電しながらサルフェーションを取り除く事ができるようになってきました。

そこで今回は、バッテリー劣化の一番の要因と言われているサルフェーションを除去する3つの方法についてお話していきます。

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サルフェーションとは?

サルフェーションとは、バッテリー内部にある電極板の周りに絶縁物質(硫酸塩)が密に集まり固着してしまう現象のことをいいます。

こうやって説明するとすごく難しいように感じるかもしれませんが、シンプルに考えると、電気を取り出すためパーツ(電極板)の周りが電気を通さないもの(絶縁物質、硫酸塩)で覆われてしまうため、うまく電気を取り出せなくなる(充電できなくなる)ということだと理解しておくと良いでしょう。

バッテリーの劣化要因の70%程度はこのサルフェーション(うまく電気が取り出せないこと)が原因だと言われています。

特に自動車やバイクなどの場合、バッテリートラブルの多くはエンジンを始動できなくなる事なのではないでしょうか?

というのも、自動車などの場合、一度でもエンジンが始動してしまえば、エンジンルームの中にある発電機が同時に作動し、自動車で消費される電気とバッテリーを充電するための電気を発電してくれるため、走行中に電気が足りなくなるということはなくなってしまいます。

極端な話をすると、走行中はバッテリーがなくても(電気を蓄えておく場所がなくても)、車はずっと動き続けることができます。(細かい話は抜きにしてですが・・・。)

このようなことから、バッテリーが一番活躍するのはエンジンを始動する時にセルモーターを回す時だと考えておくのがいいのではないかと思います。

エンジン始動のためにバッテリーが求められる性能とは?

ここで考えておきたいことは、「エンジンを始動させるという目的のために、バッテリーに要求される機能とは何か?」ということです。

メカに詳しくない人の場合よく勘違いしやすいことなのですが、「バッテリーの中にどれだけの電気が貯まっているか?」ということよりも、「セルモーターを回す1~2秒の間にどれだけ多くの電気を取り出せるか?」ということが重要になってきます。

セルモーターを回す際に使われる電気の量はバッテリー容量(バッテリーの中に蓄えられている電気の量)の1/100とか1/200ぐらいしか消費されません。

よく考えてみると分かるのですが、エンジンを始動する際、セルモーターが回っているのはせいぜい2~3秒なので、消費される電気の量としてはかなり小さいものとなります。

ここで知っておいてほしいことは、一般的に交換時期と言われるような劣化してしまったバッテリーでも、内部に充電されている電気の量そのものはそこそこあることが良くあるということです。

ですので、太陽電池などで自家発電システムをDIYしたり人は、一度に大電流を取り出すような使い方をしない(電球をつける、扇風機を回すなど)ため、使い古しのバッテリーを再利用したりしています。

つまり、自動車バッテリーの耐久性という面でネックになってくるのは、バッテリーの中に電気を蓄えられなくなることではなく、一気に電気を取り出せなくなることだということになります。

サルフェーションが進むと電気が流れにくくなる

ここで先程のサルフェーションの話に戻るのですが、電気を取り出すための電極板の周りにサルフェーション(電気を流さない絶縁物質)が固着してしまうと、電気が流れにくくなって(抵抗値が高くなる)しまいます。

電気が流れにくくなるということは、エンジンを始動する際のように瞬間的に大きな電気を取り出したい時に、取り出せる電気の量が少なくなってしまい、エンジンを始動できなくなってしまいます。

ですので、自動車用のバッテリーを末永く使いたいという場合、「発生してしまったサルフェーションをどうやって取り除くか?」ということと、「どうやってサルフェーションが発生しないようにするか?」ということが課題となります。

主なバッテリー再生方法

ここからは、主なバッテリー精製方法についてお話していきます。

パルス充電を使ったバッテリーの再生

サルフェーションと車のバッテリー再生の3つの方法

鉛バッテリーのサルフェーション除去というと「パルス充電器」が有名で、素人でもネットショップなどで約1~3万円程で購入することが可能です。

このパルス充電とは、バッテリーを充電する際の電流をKhz~MHzという周波数で断続的に流すことで、サルフェーションを除去しながらバッテリーを充電する充電方式のことをいいます。

サルフェーション除去が可能なパルス充電のイメージ

従来の充電器でもできたてホヤホヤの柔らかいサルフェーションであれば、パルス充電をしなくても普通の充電で分解することができるのですが、このようなパルス充電器を使うと、固く固着してしまったサルフェーションも除去することが可能になります。

パルス周波数とサルフェーション除去のメカニズム

ここで知っておきたいことは、パルス充電はそのパルス周波数によって、サルフェーションが除去される仕組みが少し異なるということです。

例えば、ネットショップなどで売られているような周波数がKHz帯のパルス充電器の場合、電極の周りにできたサルフェーションを分解するというよりも、サルフェーションがついた電極の表面のごく一部を分離し欠落させる事により、サルフェーションを取り除いていきます。

バッテリーにパルス充電器を接続

サルフェーションに覆われていた電極の表面がサルフェーションごと取り除かれれば、裸の電極板が現れることになり、その部分は再び電気が流れるようになるということです。

これは、「バッテリーをハンマーでコンコンと叩くと、サルフェーションが取れてバッテリーがまた使えるようになる」というメカニズムとよく似ていると思います。

比較的使用年数も少なく、電極も残っている(やせ細っていない状態)のものであれば、上記のようなKHz帯で動作するパルス充電器を使ってサルフェーション除去していくことが可能です。

>>【パルス充電器】車のバッテリー性能をDIY再生させる方法

ただし、上記のタイプのパルス充電器は電極板を削ってサルフェーションごと除去するようなイメージのものなので、再生充電をたくさんやりすぎると電極板そのものがかなり細ってくるため、一度に取り出せる電気の量が減ってきて(バッテリーの抵抗値を示すCCA値が逆に下がってきて)しまうということもあるということを知っておきましょう。

それに対して、パルス周波数がMHzのパルス充電の場合、サルフェーションそのものに対して電気を流す(運動作用を加える)事ができるようになるため、サルフェーションそのものを分解除去することができるようになります。

こことは、こちらのサイトで詳しく解説されていますので、興味のある方はご覧ください。

>>バッテリー再生技術とバッテリー延命技術解説|JSV

このようなタイプの充電器であれば、サルフェーションそのものを分解除去するので、電極板を痛める心配もなくなります。

パルス充電機でバイクのバッテリーを再生する

ただし、このタイプのパルス充電器は業務用の部類に入り、バッテリーを充電するためには車からバッテリーを取り外さなければならなかったり、使い方を間違ってしまうと充電器が故障してしまったり、コンセントなどの電源側にも充電器から発生する大きなノイズが入ってしまうためコンセントを共用してパソコンを使用したり、オーディオを聞いたりなどはできない(すごいノイズが再生されてしまう)というようなデメリットもあります。

この他に、バッテリーに直接取り付けるタイプのパルス装置などが売られていますが、それらについても基本的には上記の考え方がを当てはめて考えればいいと思います。

ですが、そういった機器から発生するノイズが車体側に悪影響を及ぼす事も考えられますので、購入する前にそのあたりのことをしっかりと調査しておくことをおすすめします。

添加剤を使ったバッテリーの再生

次に紹介するバッテリー再生方法は、バッテリーに添加剤を投入して、電極に付着したサルフェーションを除去するという方法です。

バッテリー添加剤で有名なものといえば「スーパーK」と呼ばれるものがあり、錠剤(粉末のものもある)をバッテリーの中に投入し、後は普通に充電しながら使っていくだけでサルフェーションを徐々に除去していくことができます。

バッテリーを再生するスーパーK

バッテリー添加剤でサルフェーション除去

自動車の場合、この添加剤をバッテリーに投入し、後は走行中の発電機からの充電のみでサルフェーションが除去されていくため、最も手軽なバッテリー再生方法だと思います。

ただし、最近多くなってきたメンテナンスフリーバッテリー(MFバッテリー)には添加剤を投入するための開放部がないため、この添加剤が使えないシチュエーションが増えてきました。

メンテナンスタイプのバッテリー

メンテナンスタイプのバッテリー

メンテナンスタイプのバッテリーには、バッテリー内部に精製水などを補充するための蓋があります。

メンテナンスフリー(MF)バッテリー

メンテナンスフリー(MF)バッテリー

それに対してMFバッテリーは精製水補充用の蓋がなく(シールで覆われている)、ユーザーがメンテナンスできない(しなくても良い)構造になっています。

ですので、メンテナンスタイプのバッテリーを持っている場合は、この添加剤によるサルフェーション除去方法を検討してみるのも一つの手だと思います。

ソーラーパネルを使ったバッテリーの再生

サルフェーションが発生するのはバッテリーが放電されるときであり、それが電極に固着してしまうのはバッテリーがそういった状態(電圧が低い状態)で充電されないまま放置されてしまったときです。

一般的に自動車は走行中にバッテリーは充電されるメカニズム(長期間充電されないということはない)になっているため、基本的にはサルフェーションが発生しづらい環境にあるといえるでしょう。

例えば、田舎など、頻繁に距離を走行するような使い方をする場合、そこまでサルフェーションによる劣化に悩まされることはほとんどありません。

ですが、週に1~2回、買い物のために2~3kmしか車を動かさないとか、明らかにバッテリーへの充電が少ないようなシチュエーションでは、バッテリーの自己放電や車の暗電流などによる消費が充電より多くなってしまって、バッテリーの放電状態が続いてしまう場合があります。

このような場合は、ネットショップなどで1000~2000円ぐらいで売られているような充電器を購入し、月に1~2回ほどバッテリーを充電してやれば、サルフェーションの発生を予防することができます。

ネットショップで購入したバイク用のバッテリー充電器

ただ、車を止めている場所の近くにコンセントがなかったりすることもありますし、そうやって充電することも面倒だという人もいるでしょう。

そのような場合、車載タイプのソーラーパネルを設置することで、バッテリーの満充電状態を維持し、サルフェーションを予防することが可能です。

自動車にソーラーパネルをDIY取り付け

この方法は、これまで説明した発生したサルフェーションを除去するという考え方とは少し異なりますが、サルフェーションの固着を未然に防ぐ事ができるという意味で紹介しておきます。

>>【バッテリー上がり防止】車にソーラーパネルをDIY取り付けする方法

最後に一言

今回は、鉛バッテリーのサルフェーションを除去する3つの方法についてお話しました。

バッテリー再生というテーマは素人にとってわかりにくいものだと思います。

今回お話したようなことを知っておくと、バッテリー充電器などを購入する際の参考になると思いますよ。

それでは!

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DIYメンテナンスマニア

当ブログ運営者。幼い頃からエンジン付きの乗り物に憧れがあり、大人になってから大好きな車のメンテナンス整備(ユーザー車検含む)を存分に楽しんでいる。自動車の個人売買(ヤフオクやメルカリなど)の経験もあるため、自分で名義変更手続きする方法も熟知。メカを楽しむ人向けにDIYメンテナンス情報をお届けしている。

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