ほとんどのメーカーでは、パワーステアリング(パワステ)のオイルは、基本的には交換不要(減っていたら継ぎ足すだけでOK)としています。
メーカーが推奨するパワステオイルの補充とは、①パワステオイルが入っているリザーバタンクと呼ばれるものに記載されている最低ライン(MIN)より油面が下がっていたら、②市販のパワステオイルをMAXとMINのラインの間に油面が来るまで補充するというものです。
そこで今回は、過走行の車のパワステが故障するリスクを少しでも下げるために、パワステオイルの交換時期やパワステオイルを自分で交換する具体的な方法などについて、詳しくお話していきます。
パワーステアリング(パワステ)とは?
まずはじめに、パワステとは一体どういうものなのかということについてお話していきます。
パワステとは、エンジンの力(油圧)を利用して軽い力でステアリングを切ることができるようにする仕組みのことです。
以下がパワステの概要図です。
出典)ジェイテクト通信 vol.2 (2010年11月25日号)|JTEKT
今回お話するパワステオイルは、このパワステシステムの内部をグルグルと流れているものとなります。
ハンドルを切るとパワステオイルがパワステギアに流れ込み、ハンドル動作を軽くする方向に働いてくれます。
パワステオイルが不足すると、うまく油圧がかからず、パワステがうまく動作しなかったり、最悪の場合、パワステポンプやパワステギアなどが故障してしまう可能性があります。
このような理由からメーカーは、リザーバタンクの中のパワステオイルが少なくなったら(MINのラインより油面が下になったら)補充する必要があるとしています。
ただ、年式が古かったり、過走行であったりするとパワステオイルそのものが劣化してきてしまい、当初の性能を発揮できない状態になることもあります。
エンジンオイルなどより負荷が小さいため、パワステオイルを交換しなくても故障につながるリスクは小さいものの、その可能性がないというわけではありません。
過走行であったり、ハンドルをたくさん回すような運転をする場合、パワステシステムの故障のリスクを少なくするためにも、パワステオイルを一度交換しておく必要があります。
パワステオイルの交換時期については、以下のサイトを参考にすると良いと思います。
Q.パワステフルードの交換時期は?
A.パワーステアリングフルードは2万Kmまたは2年に一回を目安に交換をお薦めしています。ただし、オイル漏れや劣化、量を定期的にチェックするよう心がけてください。
引用)交換目安のQ&A(ご質問と回答)|オートバックス
パワステオイルもハンドルを切ると発生する熱や、汚れ等で性能は劣化するんだ。
もちろん劣化したままでは、パワーステアリングに負担をかけるし、ハンドルが重たくなる、ハンドルを切った時に異音がするなど症状もでる。だから、定期的な交換が必要になってくるよ。
パワーステアリング自体はエンジンルームにある。そこでパワステオイルの交換を行うんだよ。
パワステオイルの交換時期は2年もしくは2万キロが目安。
ただし、パワステオイルは劣化だけでなく、漏れて量が少なくなっていることもあるから定期的な点検が必要だよ。
引用)その他オイル|イエローハット
ただ、オイル類の劣化の一番の原因は熱なので、個人的にはサーキット走行などをしてパワステオイルが高温になってしまうことがなければ、そこまで定期的にパワステオイルを交換する必要はない(メーカーも補充だけでOKと言っているレベルなので・・・)と感じています。
例えば、もう10万キロにもなってきているのに、パワステオイルは補充だけで一度も交換したことがないというような場合、オイルが酸化によって劣化してきている可能性がありますので、これを機にパワステオイルを交換してみるといいかもしれません。
パワステオイルの交換に必要なもの
ここからは、パワステオイルの交換に必要なものについてお話していきます。
パワステオイル
パワステオイルはホームセンターなどで売られているもの(約1000円、300ml)を購入しておきましょう。
エンジンオイルなどのように色んな種類があるわけではないので、銘柄などは好みで選んでもらえればいいと思います。
オイルを吸い取るための容器
古くなったパワステオイルをリザーバタンクから抜き取る際に使うのが、このようなプラスチック容器です。
ホームセンターなどで300円程度で購入できます。
オイル処理パック
抜き取った古いオイルはオイル処理パックなどを利用して、一般ごみとして焼却処分します。
今回は費用節約のため、家にあったビニール袋&トイレットペーパーで代用しました。
パワステオイルの具体的な交換方法
ここからは、パワステオイルの具体的な交換方法についてお話していきます。
リザーバタンクから古いオイルを抜きとる
パワステオイルの場合、エンジンオイルのようにオイルを完全に抜き取ってからオイルを補充するのではなく、リザーバタンクの中にあるオイルを古いものから新しいものに交換し、徐々にオイルを新しいものに希釈する方法が主流です。
というのも、パワステは構造上エア噛みに弱く、一度エアが噛んでしまったらエア抜きをするのがとても難しくなる(ディーラーに依頼しなければならない)可能性があるからです。
ですので、今回はエア噛みしづらい希釈方式でパワステオイルを交換する方法を紹介していきます。
まずはじめに、エンジンを切ったまま、先ほど紹介したプラスチック容器を利用して、リザーバタンクから古いオイルを抜き取っていきます。
注意点は、リザーバタンクに記載されている最低ライン(COLD MIN)以下になるまでオイルを吸い取らないことです。
そのラインより油面が上にあればエア噛みを防ぐことが出来ますので、この点に注意しながら古いパワステオイルを抜き取っていきましょう。
新しいパワステオイルを入れる
古いパワステオイルを抜き取ったら、新しいパワステオイルを入れていきます。
この際、先ほどと同じようにリザーバタンクに記載されている最大ライン(COLD MAX)のギリギリ下に油面が車でパワステオイルを入れていきましょう。
この段階では数十ccしか新しいオイルを補充することが出来ませんが、気にせず次の工程に進んでください。
ハンドルを数回左右に回す
新しいパワステオイルをリザーバタンクに補充できたら、リザーバタンクの蓋をしめ、エンジンをONし、ハンドルを数回左右に回して、新しいパワステオイルをシステム内に循環させてあげます。
車屋さんなどでは車をジャッキアップ&ウマ掛けして、前輪を浮かした状態でハンドルを左右に回したりします。
ジャッキアップが苦手な場合、家の周りをドライブするという方法でもいいでしょう。
あとは購入した新しいパワステオイルがすべてなくなるまでSTEP1~3を何度も繰り返していけばパワステオイルの希釈交換は完了です。
抜き取ったオイルを処理
なお、抜き取ったパワステオイルはオイル処理パックなどに吸収させ、燃えるゴミとして廃棄処分しましょう。
お疲れ様でした。
これでパワステオイル交換は完了です。
最後に一言
今回は、【交換時期?】パワステオイルを自分で交換する方法についてお話しました。
希釈交換であればエア噛みのリスクを減らしつつ、簡単にパワステオイルをDIY交換することが出来ます。
過走行であったり年式が古い車を長く大事に乗っていきたいという人は、故障を未然に防ぐという意味でぜひ一度パワステオイルを交換してみてください。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!