エンジンオイル交換は、①古いエンジンオイルを抜き取った後、②新しいエンジンオイルを入れるするという流れで行っていくのですが、①のエンジンオイルの抜き取り方は、「上抜き」と「下抜き」の2つの方法があります。
今回紹介する上抜きとは、エンジンルームにあるレベルゲージにチューブを差し込み、ポンプの力でオイルを上側から抜き取る方法のこと。
上抜き交換は車をジャッキアップする必要が無いため、下抜き交換に比べて安全で作業時間も短縮できるというのが特徴です。
そこで今回は、エンジンオイルを自分で上抜き交換する方法について、詳しくお話していきます。
上抜きオイル交換のために必要なもの
ここからは、上抜きオイル交換に必要な物についてお話していきます。
オイルチェンジャー
エンジンオイルを抜き取る方法は大きく分けて二種類あり、「車の下にあるドレンボルトを取り外してオイルを抜く下抜き」と、「レベルゲージのところにホースを差込み、オイルチェンジャーという機械を使ってオイルを抜きとる上抜き」という方法に分けられます。
下抜き
上抜き
以前から私は上の写真のように下抜きでオイル交換してきたのですが、下抜きでオイル交換する際に注意すべき点がいくつかあるようです。
BMW専門ショップの者ですが、E46なら上抜きでやっています
その理由は、下抜きの場合、ドレンコックのワッシャーが弱いため、下抜きでやるならワッシャーを毎回換える必要があります。またオイルパンのねじ山をすぐなめてしまう場合があり熟練しないとオイルにじみや漏れを生じやすくなります
またオイル交換はエンジンオイルをある程度温めてオイルがやわらかくなってからやるのが普通ですが、下抜きの場合、これもなれないとボルト抜けた瞬間、オイルが手にかかったりして最悪火傷の心配もあります
E34のオイル交換でドレインボルトのオイルパン側のネジ山を駄目にして、オイルパンを交換された方もいらっしゃるようですね。私も前回ディーラーでオイル交換をした際に、ドレインボルトのネジ山があまくなって、とりあえず応急処置でしのいでおりました。
引用)オイルパンドレインボルトのネジ山修正 - R100RSさんより|BMW メンテナンスレポート(主にE34、最近はE63)
これらの記事を読んでいると、万が一ドレンボルトを絞めすぎてしまった場合、それに対処するのが大変そうです。
また、下抜きの場合、いちいちジャッキアップしなければならなかったり、ドレンボルトを外すために車の下にもぐって作業する必要があったりして危険だなぁと感じていました。
オイルチェンジャーはネットなどを探してみると分かる通り、約3000~5000円程度で手に入れることができます。
今回はすぐにオイル交換を始めたかったので、近くのホームセンターに売られていたオイルチェンジャーを購入しました。
ちなみに、オイルチェンジャーを使ってオイルを抜き取る場合、オイルチェンジャーのホースをレベルゲージが刺さっているパイプに差し込む必要があります。
オイルチェンジャーの裏側の説明を読んでみると、稀にレベルゲージの穴径が吸入ホースより小さいものがあるようです。
国産車の場合、サイズが合わないということは殆どありませんが、念のためオイルチェンジャーを購入する前に吸入側のホースがそのパイプの直径以下であることを確認しておくことをおすすめします。
エンジンオイル
次に必要なものと言えば、ずばりエンジンオイルです。
初めてオイル交換する時などは特に「いったいどのオイルを入れればいいのか?」ということがわからず、困ってしまいます。
オイルを選ぶ基準は以下の3つを確認しておけばOK。
- オイルの品質(SNなど)
- オイルの粘度(10W-30など)
- オイルの量(3.9Lなど)
メーカーは車種ごとにオイルの品質や粘度、交換量を指定していますので、それに合ったエンジンオイルを購入していきましょう。
粘度やオイル用の具体的な調べ方は、ネットなどで「ノア(車種名) オイル 粘度 量」で検索してみてください。
だいたい自動車メーカーのサイトがでてきますので、その中にオイルの品質(SNなd)や粘度(0W-20など)と、交換する時に必要となる油量が書かれています。
本来であればそれと同じオイルを購入するのですが、最近の車は燃費を高めるために、高価な粘度の低いオイルを推奨にして燃費を稼いでいる場合が多くなってきています。
私の場合、推奨の粘度は0W-20(低燃費オイル)なのですが、実際はホームセンターに売っている一番値段の安い10W-30(一般的な粘度)を10年以上使い続けています。
もちろん、それで車のエンジンが壊れたりしたことはありません。
それぐらいの粘度の違いであれば若干燃費が悪くなる(約3~5%)だけですので、燃費よりもコストだって人はそういう感じでオイルを選んでもいいと思います。
エンジンオイルのことについてもっと詳しく勉強したいという人は、こちらのサイトが参考になると思います。
エンジンオイルには、性能を表すいくつかの表示があります。その中で重要なのが粘度とグレードで、クルマや使い方に合った粘度とグレードのオイルの使用を推奨しています。
オイルの粘度は、SAE(アメリカ自動車技術者協会)の分類によって「10W-30」「0W-20」などと表されます。読み方は、まず前半の数字が小さいほど低温で固まりにくい特性があります。0Wなら零下35℃、5Wは零下30℃、10Wは零下25℃に対応しています。WはWinter(冬)の略で、10Wよりも5Wのほうがエンジン始動時における負荷が小さく、燃費も良くなります。後半の数字は、高温時の粘度を表していて数字が高いほどオイルが固くなります」。
クルマの使い方に応じてエンジンオイルを選ぶことも大切です。高出力のスポーツカーやターボエンジン搭載車は5W-40などのオイルを、小排気量のクルマや日常走行が中心であれば、0W-20、5W-20といったオイルを使用すると燃費数値は良くなる傾向にあります。
その他のオイル交換に必要なもの
オイル交換を上抜きで行う場合は、その他にオイルジャッキやオイル処理パック、ウエス(タオルなど)を準備しておけばOKです。
車を持ち上げるためのジャッキやドレンボルトを開けるためのスパナなどを準備する必要がないのも上抜きのメリットですね。
上抜きオイル交換の具体的な方法
ここからは、上抜きオイル交換の具体的な方法についてお話していきます。
暖機運転を20~30分する
エンジンオイルは、温度が高くなるほど粘り気がなくなり、サラサラとした感じになっていきます。
オイルチェンジャーの仕様書にも書かれていますが、暖機運転をしてオイルを温めておかないと、オイルを抜き取るのにものすごく時間がかかってしまったりします。
特に冬場の寒い時期にオイル交換する場合は20~30分ほど暖機運転をさせ、十分にエンジン(オイル)を温めてから作業を開始していきましょう。
オイルチェンジャーの吸込側のホースをセットする
オイルチェンジャーを箱から取り出し、説明書に従って吸入側のホースを組み立てていきます。
まず、吸入側のホースを組み立てていきます。
黒くて太いホースについているキャップを外して、細くて硬い透明なホースをその黒いホースに差し込んでいきます。
後は、オイルのレベルゲージに細くて硬いホースを差し込んでいけばOK。
これで、オイルの吸込み側のセッティングは完了です。
オイルチェンジャーの吐出側のホースをセットする
続いては、オイルチェンジャーの吐出側のホースをセットしていきます。
オイルチェンジャー本体についているキャップを外して、半透明で柔らかいホースをセットします。
吐出側のホースの反対はオイル処理パックにクリップを使って固定しておきます。
クリップを使って固定しておくことで、吐出ホースの位置を固定することができます。
実際にオイルチェンジャーオイルを抜いてみるとわかると思いますが、この吐出ホースが暴れだすほどの勢いでオイルが出てくるわけではありませんが、万が一ホースが処理パックから外れてしまった場合、その周りがオイルまみれになってしますので、注意しておきましょう。
オイルチェンジャーの電源ラインを取り付ける
今回使ったオイルチェンジャーは電動なので、バッテリーから電源を取る必要があります。
まず、①バッテリーターミナル接続部(-)にオイルチェンジャーのクリップ(黒)を取り付け、次に②バッテリーターミナルの接続部(+)にオイルチェンジャーの電源クリップ(赤)を取り付けていきます。
さぁ、これでようやくオイルチェンジャーを使ってオイルを抜き取る準備ができました。
オイルチェンジャーの電源をONして、オイルを抜き取る
それではオイルチェンジャーの電源を入れてエンジンオイルを抜き取っていきましょう。
「ぶ~~~~ん」という音と共にオイルが勢い良く吐出されています。
電源を入れてから3~4分ほどで排出側のホースにオイルが流れてこなくなって、オイルチェンジャーの音が変わります。
この時点でオイルの吸出しは終わりですので、オイルチェンジャーの電源をOFFにします。
ちなみに、今回取り出したオイルと新品のオイルを比較してみるとこんな感じです。
見て明らかな通り、新品のオイルと比較すると使用済みのオイルは真っ黒になって汚れていることが分かります。
ただ、新品のオイルと使用済みのオイルの感触の差は感じられず、どちらも同じぐらいという感じでした。
エンジンオイルはある程度の粘度をもったオイルですが排出したオイルを触るとジャリジャリとスラッジが分かるくらいの感触で粘度もほとんどない状態。
M3のように高回転を楽しむエンジンの場合、このようなオイルの状態だと最悪な状況として油膜切れを起こしてしまう可能性があります。
エンジンの作りもシビアな部分があるので、目に見えない箇所にダメージが蓄積されていくのは明らかですから、このオイルの状態は絶対にNGです。
実際に使用済みのオイルを触ってみた感じではザラツキはなかったですし、オイルの粘度の違いも感じられませんでした(素人レベルではですが・・・)ので、もしかしたら私の乗り方(走行距離は年間2万キロ程度、渋滞などあまりない地域)では、オイル交換はもう少し後でも良かったのかもしれません。
新品のオイルを注入する
さぁ、ようやく新品のオイルを注入する工程です。
まずはオイルジョッキにオイルを移していきましょう。
あとはこのオイルジョッキを使って、オイル注入口にエンジンオイルを流し入れていきます。
ここで上抜きのために取り外していたオイルレベルゲージを一度挿入して取り出し、オイルが規定量入っているか(Lマークより上、Fマークより下)を確認します。
写真では少しわかりにくいですが、LとFの間にオイルの油面があることが確認できました。
おつかれさまでした。
これで上抜きオイル交換は完了です。
オイル交換の適切な時期について
これは余談ですが、オイル交換をし始めると、どのようなタイミングでオイル交換をすればいいのか気になりはじめます。
このことについては、まず、メーカーのサイト(「トヨタ ノア オイル交換 時期」で検索)で推奨の交換時期を調べてください。
それに従っていればOKです。
一部の自動車修理工場やカー用品店などでは3000kmとか、5000kmや季節ごとには交換したほうがイイとかアドバイスしているところもありますが、普通に車に乗っている人の場合、そんなに頻繁にオイル交換する必要はありません。
ただし、「サーキットで高回転走行するので絶対に油膜切れを起こしたくない!」とか、「エンジン内部に溜まるスラッジなどを極力少なくしたい!」、「走行距離が30~50万km以上になるまでエンジンを載せ買えずに乗りつづけたい!」というような場合は、この限りではありません。
10万キロを超えて過走行になってくると、エンジン内部の部品が磨耗して徐々にオイルの減りが早くなってくることがありますので、そのような状況の場合は車のメーターについている「オイルランプ」を少し気にするようにしておきましょう。
急発進やブレーキ中、カーブなどでオイルランプが点いたり消えたりするようでしたら、その時点でオイルを継ぎ足すなど、適切な処置を施してあげましょう。
その辺りの内容については、こちらの記事が参考になると思います。
>>オイルランプが点灯(点滅)した時に確認すべき3つのポイント
最後に一言
今回は、エンジンオイルを上抜き交換する方法についてお話しました。
エンジンオイルの上抜き交換と聞くと、オイルチェンジャーなどが必要だし、少し難しそうなイメージがあります。
ですが、実際にやってみると車をジャッキアップしない分、無駄な体力も使いませんし、下抜きより断然上抜きのほうが楽チン&安全でもあります。
DIYオイル交換の参考にしてみてください。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!