長い間車に乗らなくなることになってしまった・・・。
車を手放してしまうのはもったいないので、車を長期間保管しておきたいのだけれど、具体的に何をしておけばいいのかよくわからない・・・。
車は1~2週間ぐらいであれば、いつものようにエンジンを止めて鍵を締めておくだけでも問題ありません。
ですが、何もせずに数カ月以上の長期間車を動かさなかった場合、様々な場所に不具合が出てしまいます。
そこで今回は、車を長期間保存する前にやっておきたい11つの事についてお話していきます。
【その1】バッテリーターミナルを外しておく
長期間車を保管しておく場合、バッテリーのターミナルを外しておくとバッテリー上がりを防ぐことができます。
というのも、車はイグニッションOFF、つまりキーを抜いた状態でもキーレス電波の受信や時計のバックアップのために常に微小な電流(50mA程度)がバッテリーから流れ出ています。
この電流のことを暗電流というのですが、バッテリーのターミナルを外して置くことで、この暗電流をカットすることができ、長期保存におけるバッテリー上がりを防止することができます。
基本的にはマイナス側(黒色)のバッテリーケーブルを外しておけば、この暗電流をカットすることができます。
ただし、バッテリーは車に接続されていなくても、バッテリーの中で少しずつ化学反応が起こり、蓄えられている電気が減へっていくという性質(自己放電)もあり、その自己放電はバッテリー保管環境の温度が高いと増加する傾向があります。
バッテリーの自己放電も予防したい場合は、バッテリーを車から取り外して、冷暗所に保管するのがベターでしょう。
その他のバッテリー上がりの予防手段としては、補充電ができるバッテリー充電器を繋いでおくという方法もありますので、ご参考まで。
【その2】ガソリンは満タン(劣化防止材も投入)にするか、すべて抜き取る
車の燃料としてタンクに入れられているガソリンは、常に空気に触れているような状態で約3ヶ月、冷暗所や車のガソリンタンクでの保管でも数ヶ月~半年程で劣化してしまうことがよく知られています。
一般的には気温の変化が少ない冷暗所の保管であれば、ガソリン・灯油・軽油は半年程度、A重油は3カ月程度使用に関して問題ないものと思われます。ただし、購入から上記期間内の品質を保証するものではありませんので、早めの使用(入れ替え)を推奨します。
引用)よくあるご質問|JXTGエネルギー
ガソリンが劣化することによる車へのダメージは主に2つあります。
一つ目は、ガソリンに含まれる「アルケン」という物質が空気中の酸素に触れて酸化し、ギ酸や酢酸という酸性の物質に変化してしまいます。
酸は金属を溶かす性質があるため、それらの物質が増えてしまうとガソリンタンクやポンプ、インジェクションなど、フェールラインにある金属パーツの腐食につながってしまいます。
ガソリンの酸化を防ぐためにはタンク内の酸素を少なくする必要があり、具体的には、ガソリンを満タンに入れることで、ガソリンの酸化をある程度防ぐことができると言われています。
ガソリン劣化防止材を入れた後は少し車を前後させてガソリンタンクを撹拌し、その後しばらくの間エンジンを掛けておいて、燃料ラインまで劣化防止剤が行き届くようにしてあげましょう。
二つ目は、ガソリンの揮発成分が抜けると粘り気のあるヘドロのような物質が発生し、その状態でエンジンをかけると、ヘドロのような物質が管の汚れや詰まりを引き起こし、エンジンがかからなくなる可能性があります。
スタビライザー(劣化防止材)をガソリンに添加しておけば、約1~2年ほどはガソリンがヘドロ化することを防ぐことができます。
ただし、2年以上車を保管するような場合は、上記の方法でガソリンの酸化やヘドロ化を防ぎきることはできなくなります。
そのような場合は、ガソリンはタンクから一度全て抜いてしまうという方法もあります。
具体的には、ガソリンタンク内の燃料を全て抜き取った後でエンジンを始動し、止まるまで放置するか、インジェクターのデリバリーパイプの燃料ホースを外すなどして、ガソリンをフェールラインから最後まで全て抜き取ります。
こうすることによって、ガソリンが存在することによる車へのダメージを根本的になくしてしまうことができます。
実は、この方法、車の博物館などで動態保存をする時に行われている方法となっています。
ただ、この方法は素人には施工が難しいので、実際にこの方法を自分で行う人は少ないと思います。
素人が車を数年単位で長期保管する場合、1年毎に満タンにしたタンク内のガソリンとスタビライザーを新しいものにするというのが現実的な方法なのではないかと思います。
【その3】直射日光や雨風が当たらない状態にする
自動車のボディーや内装を痛めないためには、直射日光や雨風のない車庫などの屋内保管がベストでしょう。
車庫以外の屋外で保管する場合は、カバーシートをかけておきましょう。
こうすることによって、車に直接太陽光や雨風が当たること防ぐことができます。
カバーシートで保管する場合の注意点として、カバーシートは風などでバタバタすることがあり、ボディーとシートが擦れて傷になってしまうことがあります。
カバーシートを購入する場合は、裏起毛(シートの裏側がフワフワなもの)があるものを選んでおきましょう。
ただし、このようなボディーカバーシートは約1年も破れずにいればいい方で、早いものだと半年ぐらいで下記のような感じで表面がボロボロになったり、シートが破れたりして(テープで補修)してきます。
仮にボディーカバーをかけていなければ、ボディーカバーをこれだけ劣化させた分の紫外線を塗装面が直接受ける事になっていたことを考えると、ボディカバーの保護効果はとても大きいと考えられるでしょう。
ですので、車を屋根なしの屋外で保管する場合は、ボディーカバーを装着しておくことをおすすめします。
【その4】車を長期保管する前に洗車、車内掃除をする
車を長期保管する前には、必ず洗車や車内掃除を行っておきましょう。
どんなことにも共通することですが、汚れが付着している状態というのは、物の劣化スピードが加速している状態です。
例えば、ボディーに鳥の糞や虫などがついた状態だとすぐにボディーが傷んでしまいますし、車内にホコリや食べ物カスなどが残っていると、カビが生える原因にもなります。
車を長期保管する前にボディーや車内をキレイにし、簡易的なものでもいいのでボディーコーティングなども施しておくと、汚れがボディーに直接付着するのを防ぐことができ、塗装面の劣化を遅らせることが可能ですので、ご参考まで。
【その5】車内にカビが生えるのを防ぐために除湿剤を置いておく
長期間車を保管すると必ず起こってしまうことは、車内がカビだらけになってしまうということです。
車内にカビが生えるとどんな感じになってしまうのかというのは、WEBで「車 カビ」などと検索してみるといいでしょう。
どうして車を長期保管すると車内にカビが生えてしまうのかというと、長期間締め切られた車の車内は湿気が溜まりやすく、また車のシートなどにはたくさんのカビの餌となるホコリや皮脂汚れなどが付着しているため、長期間締め切られた車内はカビの絶好の繁殖場所になるからです。
カビの発生を防ぐのは簡単で、普段使っている車のように定期的に車のドアを開け閉めして、車内に湿気が溜まらないようにすればOKです。
それが面倒な場合は、押し入れなどに入れておくような除湿剤を数個置いておくだけでも、かなりのカビ抑制効果が期待できます。
ちなみに、夏場だと1ヶ月でこんなにも水が溜まってしまいます。
除湿剤が4~5個の場合は1~2ヶ月毎に除湿剤を交換する必要があります。
逆に、除湿剤の個数を増やしてあげれば、それだけ交換時期を伸ばせますので、その辺りはご自身のメンテナンスのやり方に合わせて決定すればいいと思います。
車内にカビが生えてしまうと何万円もする車内クリーニングに出さないと車に乗れないという自体になってしまいますので、定期的な換気と除湿剤を置いておくことを忘れずにやっておきましょう。
【その6】エンジンを保護するためにオイル交換しておく
基本的にエンジンオイルは温度変化によって劣化する性質があるため、エンジン停止状態の1~2年程度の保管ではそこまで気を使わなくてもいいでしょう。
ただし、例外として、車を保管する前に既にエンジンオイルに水分が混じってしまっていたりすると、オイルの劣化(エンジンオイルのヘドロ化)が進みやすくなってしまっていますので、長期保管の前には新油に交換しておくことをおすすめします。
また、定期的にエンジンを掛ける際は、しっかりとエンジンオイルを温め(水温計が真ん中に来てから15~20分程度はエンジンを掛けたままにする)、エンジンオイル内の水分を追い出してからエンジンOFFするようにしましょう。
【その7】サイドブレーキを解除してブレーキの固着を防ぐ
車を長期保管する場合、サイドブレーキを掛けたまま保管してしまうと、ブレーキがかかったままブレーキ周りのパーツが固着してしまうことがあり、エンジンを掛けてもブレーキが解除されず、アクセルを踏んでも車が進まないという状態になってしまいます。
このような状態になってしまうと、ブレーキを分解してオーバーホールしなければ再び車を走らせることができなくなります。
これを防ぐためには、ギヤはパーキング、車止めをするなどして車のサイドブレーキを解除した状態で保管するという方法があります。
ブレーキに遊びをもたせた状態で保管しておけば、少々のブレーキの固着なら保管後に車を始動した時、ブレーキを踏み込むことで固着が取れてしまうことがあるからです。
ちょっとしたことですが、少しでも再始動時の費用を節約するために、サイドブレーキは掛けずに、ギヤをパーキングに入れ、車止めを掛けて保管するようにしましょう。
【その8】リジッドラック(ウマ)を掛けて保管する
車は単に停車させた状態では、車重などによってサスペンションやタイヤなどの足回りに負荷がかかった状態になっています。
長期保管で特に多いのがタイヤの変形で、タイヤが変形してしまうと走行中にハンドルがブルブルするなどの状態になってしまうことが多々あります。
車を長期保管する場合は、そのテンションを和らげることで、足回りのパーツの劣化(サスペンションスプリングのヘタリ、タイヤの変形など)を予防することができます。
リジッドラックを準備できなくても、定期的に停車位置などを変えるなどしてタイヤの接地面を変えるなどの工夫をすれば、タイヤの変形を防ぐことができますのでご参考まで。
【その9】タイヤの空気圧を調整する
タイヤの空気圧に関しては、車をどのように保管するかによって調整方法が変わります。
例えば、車をリジッドラックなどでジャッキアップして保管する場合、タイヤの変形を気にする必要はなくなるため、空気圧は低くしてタイヤのヒビ割れを緩和する事ができます。
逆に、単純に車を停車させて保管する場合、空気圧は高めに設定することでタイヤの変形量を小さくしてタイヤの変形を防ぐことを優先したほうがいいかもしれません。
ご自身の車の保管方法に合わせて空気圧を高めにするか、低めにするか検討してみてください。
【その10】カーエアコンのガスを補充する
車の長期保管でよく故障してしまうのがカーエアコンです。
どうしてかというと、カーエアコンシステムの冷媒が充填されている配管の接続部は完全に溶接やロウ付けされているわけではなく、ゴムパッキンなどを使ったはめ込み接続になっています。
ですので、正常な車でも年に3~5g程度は冷媒が抜けていくような形のシステムになっていることを理解しておきましょう。
ここで知っておきたいことは、エアコン配管の中には冷媒ガスだけではなく、コンプレッサーオイルなどにゴムパッキンを保護する成分も含まれているということ。
通常の仕様では、多少頻度は違えど、エアコンをONして走行するため、ゴムパッキンを保護する成分がエアコンシステム内を循環することで、ゴムパッキンの劣化を抑制するような設計になっています。
ですが、車を長期保管する場合、エアコンが動作することもないため、ゴムパッキンの劣化(収縮、ヒビ割れなど)が進んでしまい、エアコンガスが通常よりも早いペースで抜けていってしまいます。
ですので、車を長期保管するタイミングでエアコンガスが規定量よりかなり減ってしまっている場合は、事前にエアコンガスを充填しておきましょう。
また、長期保管の際にエンジンを掛けてあげる事があるのであれば、忘れずにエアコンも2~3分ほどはONし、エアコンシステムの保護を行っておきましょう。
【その11】一時抹消登録をする
車に長期間乗らない場合、一時抹消登録(ナンバーの一時的な返却)をしておくと、毎年の自動車税や車検費用(自賠責保険料、重量税など)を支払う必要がなくなります。
一時抹消登録は陸運局というところに行き、書類を記入したりするだけですので、素人の人でも簡単に手続きすることができます。
なお、車を長期保管する場合は任意保険などの解約も検討しておきましょう。
保険会社によっては、等級を維持したまま保険を一時的にストップしておくことも可能ですので、ご参考まで。
最後に一言
今回は、【保存版】車を長期保管する前にやっておきたい11つのことについてお話しました。
長期保管後、車を楽に乗り出せるかどうかは、長期保管前の準備や保管中の状態によって左右されますので、出来る限りのことはやっておいたほうがいいと思います。
ちなみに、長期保管中にエンジンを掛けたりすることがあるともいますが、その際のポイントは以下の通り。
- エンジンを掛ける前にバッテリーを充電しておく
→バッテリー上がりを予防する - エンジンがしっかりと温まるまで暖気すること
→エンジンオイルに水分が混ざる(白濁ヘドロ化する)ことを防ぐ - エアコンはONにして暖気すること
→エアコンシステム内にエアコンオイルを循環させて、パッキンの劣化とガス抜けを予防する
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!