高速道路を走り出すと、急にハンドルが小刻みにぶれはじめる・・・
そのブレが出るのは80~120km/hの速度域だけでそれを超えたスピードで走ると、その振動が収まっていく・・・
その原因はタイヤやホイールにある場合がほとんどで、タイヤのバランスを取ったり、タイヤやホイールを交換すれば解決することがほとんどですが、以下でお話するように稀に車の車体車軸側に原因があることもあります。
そこで今回は、高速でハンドルがぶれる原因についてまとめておきますので、原因究明の参考にしてみてください。
タイヤの重量バランスが取れていない
タイヤとホイールは構造上の非対称性や製造段階におけるばらつき、タイヤをホイールにはめる際の工程などで、バランスが悪くなることがあります。
それを解消するのがタイヤに鉛の重りを取り付けるバランス取りです。
タイヤバランスが取れていない場合、高速走行などでタイヤが振動してしまい、それが原因でハンドルに不快な振動が伝わります。
これが原因の場合、ディラーやガソリンスタンドなどでタイヤバランス(約500円/本)を取ってもらえれば、ハンドルの震えが解消することがほとんどです。
俺も、冬用タイヤから夏用タイヤに履き替えたら80km出したくらいでハンドルがぶれ出しました。
履き替える前はきちんとバランスとってあったのにな・・・と不思議でしたが持ち込んでみてもらったらやはりホイルバランスでした。
いとも簡単に直っちゃいましたよ。
なお、タイヤ組み付け時にバランス取りをちゃんと行なっていても、タイヤが減ってくるとバランスが変わってしまうこともありますので、ご参考まで。
タイヤが真円ではない
タイヤそのものの形状のばらつきやホイールにタイヤを組み込む作業によってできるひずみによって、タイヤの真円度が悪くなることがあります。
真円でないタイヤで走行した場合、タイヤが上下左右に揺れてしまうため、その振動がハンドルに伝わることがあります。
タイヤが真円を描くようにきれいにタイヤを組めば、バランスがしっかり成立するのです。
タイヤの入れ替えなんて機械がするから誰がやっても同じと考えてる方も多いのではないでしょうか?
しかし、実際は違います。職人の技量によって出来上がりが違ってくる分野なのです。
下の図は組み方によってバランスが変わるということを図解で示しています。
この作業は「位相合わせ」と呼ばれるもので、タイヤ・ホイールバランスの基礎になるものです。
しかし、基礎でありながら、この出来がバランスの行方を左右する大事なものです。
位相合わせの工程は、タイヤ・ホイールバランスの中で最重要点に位置するものです。
これの出来具合でバランスの8割は決まってしまいます。それくらい、バランスの根本になる作業です。
ホイールを組み込む手順が間違っている
タイヤの組み込み作業手順を間違ってしまった場合、タイヤバランスが崩れてしまう場合がります。
タイヤの組み込みにも技術は必要です。
タイヤ、ホイールを傷付けないように組み込むのは当然ですが、 タイヤとホイールをきっちりフィットさせるのは技術と言うよりセオリーがあるんです。
組み込んだ直後のタイヤに空気を入れて”パン!”っと、ホイールに勘合させるのですが、 はまればOKではなく、一度空気を抜いて、歪を取り除いて、再度、空気を充填します。
一度、空気を抜くのは、余分な水分を極力少なくする事にもなりますし、フィッティングをより完全に近い状態としてくれます。
これによって、リムずれなどを防止できるわけです。
引用)組み込み時の注意|タイヤプラス
センター軸がずれている
ホイールのセンターと車軸のセンターがズレた状態で高速走行すると、ハンドルがブレる場合があります。
ホイール装着面の構造には、それぞれ役割があるのですが、その中で「ハブセンター」という円柱状の突起があります。
ハブもホイールも回転する訳ですが、ここのセンター軸がずれていると、ブレが発生する原因となります。
ホイール装着時にナットで締め込んで行く際に、ある程度はセンターが出るのは事実ですが、実際に問題が起こらないレベルまでセンターが出るとは限らないため、純正ホイールの内径とハブセンターの外径は揃えた寸法となっています。
※クリアランスは1/10ミリのレベルしかありません。
純正ホイールとハブセンターのクリアランスが、1ミリも無いのに、社外アルミホイールを装着した場合これだけのクリアランスがある訳ですから、ハブホイールリングをつけずにナットだけでセンターを出していると、センター軸がズレてしまうのも納得です。
このクリアランスが原因で起こるホイールのブレは「ハンドルのブレ」としてドライバーに伝わります。
社外ホイールを装着する際にハブリングを取り付けていない場合は、まずこの原因を疑ってみてください。
私の場合、実際にハブリングを取り付けただけでハンドルのブレが相当改善しましたよ。
>>社外アルミホイールでハンドルがブレる時はハブリングが効果的
長期間駐車によるタイヤの変形
タイヤは経年劣化する時にゴムが硬化していきます。
長期間の駐車によってタイヤが変形した状態で放置されると、変形した状態でタイヤが硬化するため、それが原因でハンドルがブレる時があります。
*故障名
高速走行時、ハンドルがブレる*入庫時状況(赤がポイント)
昨日、高速道路を走ったのだが 85km/hぐらいの速度になると ハンドルがブレる。(100km/h 近くになるとブレは止まる)
なんとか ならないか、との依頼があった。
*修理詳細
この車は2ヶ月程前に中古タイヤを購入、交換していたので 再度ホイールバランスをとってみた。しかし ハンドルブレの現象に変化はなかった。
念のため、近くのタイヤ店でバランスをとってもらったが 同じであった。
ステアリング関係にガタ等の異常はなく、やはりタイヤ関係が一番怪しく思えたので 在庫車のタイヤに取替えて 再び高速道を走ってみた。
その結果、同じ速度でハンドルブレが発生した ものの その振れ幅はかなり小さくなった。
やはりタイヤが影響していると思われた。
この時点で少し 整理をしてみた。
この車は長期駐車をすることが多い。
中古タイヤ(ゴムが硬い)を使用した。
バランスはOK。このことより 目には見えないがタイヤの一部に変形が残っていることが考えられ、 それがハンドルブレ(共振)に現れたと推察した。
しかし 問題はそのことをお客様に 目に見える 形で、言い換えるとデーターとして出さないと納得してもらえないことであった。
いろいろ考えてみたが その中でひとつのアイデアが浮かんだので実行してみた。
タイヤの空気圧を2.2→3.5kg/c㎡に高めてみて 再び 同じ高速道を走ってみた。
その結果、古い舗装面ではハンドルブレが残ったものの 新しい 舗装面でほとんどブレが出なくなった。
このことより 今回のハンドルブレの原因が 長期駐車による タイヤの変形、中古タイヤのためゴム質が硬く、変形が戻りにくいことなどが影響している可能性が 高いことをお客様にお話してしばらくこの状態で乗っていただくことになった。
もちろん タイヤ 空気圧は元に戻した。
(対策;なるべく車に乗る機会を多くして長期駐車を 避ける。また 新品タイヤに取替えるのもひとつの方法。)
ホイールが歪んでいる
最近は値段の安いホイールがたくさん出てきましたが、その弊害として製造段階で発生するホイールの歪みがハンドルのブレにつながっていることもあります。
以前「ヤフオク」で、エンケイの「RP01」(5本スポーク)を購入し、タイヤを組んで「バランス調整」しましたが、ブレーキを踏むと「ハンドルがぶれる」症状になりました。
もう一度ホイールバランスを確認しても、「バランスはOK」「タイヤ外周のぶれもOK」「ホイールリムのぶれもOK」でした。
しかし良く見ていると、スポーク付け根の位置が「ビミョ-にずれている」事に気づきました。
※ホイールは、廃棄処分!
最終的には、車に装着して異常が無ければOKでは・・・。
必ずしも安物が悪いものというわけではないのですが、安物は品質管理が甘いケースもありますので、このようなことも考えられるということを知っておきましょう。
走行中にホイールの内側に雨水が溜まる
ものすごく稀なケースですが、ホイール形状によってはホイールに雨水が溜まってしまい、それがタイヤバランスを崩してしまうこともあります。
まず一つめの原因ですが、フルリバースリムならではの原因!
トップ画は洗車後の様子ですが、ホイールのリムに水が溜まります。
なんとこれが、雨の中を走行中にも同じ状態になります。
この状態でホイールが高速回転することによって、水がリムの内側に遠心力で押しつけられ、リングのようになります。
これが原因となって、ホイールバランスが大きく崩れ、ハンドルブレの原因となっていました。
この水切りフィン(?)を付けることによって、ホイールが回転するとフィンによって水がホイールの内側に飛ばされるようになります。
シミー現象が発生している
足回りの構造強度の割にタイヤが大径のものが取り付けられている車(軽オフロード車など)に多いのが、シミー現象によるハンドルのブレです。
ホイールやタイヤは円形の中央や左右の中央に重心ができるように設計製造されているが、微妙な誤差ができてしまう。
そのままの状態で使うと、回転の中心と重心がズレているため、振動が発生してしまう。
偏心回転というもので、実は携帯電話のバイブレーター機能は、この偏心回転を利用して振動を起こしている。
こうしたホイールバランスの狂いによる偏心回転による振動をシミー現象という。シミー現象は、一般的に高速走行で発生しやすく、特定の速度以上で起こることが多い。
高速走行でハンドルにブレを感じた場合、シミー現象の可能性が高い。
引用)高速走行でハンドルが振動したらシミー現象。|クルマのことならオートバックス
シミー現象が発生すると、タイヤそのものが大きく振動し始めますし、ハンドルにもそのフレが伝わってきます。
最後に、外から見ることがなかなか難しいシミー現象を捉えた動画を掲載しておくので、身に覚えのある方はご覧になってみてはいかがでしょうか?
基本的には、このシミー現象もタイヤバランスをしっかり取ってあげれば、解消することがほとんどです。
ただし、オフロード走行などでホイールそのものに歪みができてしまっている場合はいくらバランス取りをしても直らない事がありますので、ご参考まで。
タイヤとサスペンションが共振している
基本的にハンドルのブレは、タイヤで発生した振動がサスペンションやパワステなどで増幅されて伝わってきたものです。
タイヤバランスを改善すれば、タイヤから発生する振動そのものも小さくなりますが、振動の周波数も変わるため共振が抑えられます。
タイヤを含めたホイールにバランスの崩れがあると、回転したときに振動を発生しますが、崩れが小さい場合は通常余り気になりません。しかし、ステアリング系統などの共振周波数(物にはある特定の振動数で振動が非常に大きくなるポイントあり、これを共振点または共振周波数と呼びます。樹脂製の長めの定規の真ん中を持ち上下に振るとある速さで大きくたわむところがありますが、これが共振周波数です)とホイールの発生する振動の周期が一致すると大きな振動となってハンドルに伝わってきます。タイヤの発生する振動の周期は速度(タイヤの回転数)によって決まりますので、ある速度でのみ大きな振動となって現れることが多いのです。
タイヤに取り付けられているウェイトの数に偏りがある
タイヤやホイール、それらの組み付け方によっては、ものすごい量のカウンターウェイト(鉛)を取り付けないとタイヤバランスが取れないということがあります。
バランス取りのために取り付ける重りの量はなるべく4輪とも均一になるのが好ましく、あまりにも大量のウェイトを取り付けなければならないタイヤが出てきた場合は、タイヤを組み直したりすることも考えましょう。
ホイールもタイヤも同一サイズ・銘柄でも重量誤差があり、組み合わせが悪いと特定のホイール/タイヤへのウェイトが極端に多くなったり少なくなったりしますよ。ウェイトの重さを確認して1輪のみ大きく違っている、などの時にはホイールとタイヤの組み合わせを変えて四輪で均等な質量になるように配分し組み合わせを。
ブレーキのローターに歪みがある
高速走行中のブレーキングの時だけハンドルがぶれる場合は、ブレーキローターに歪みや傷ができてしまっている可能性があります。
当方整備士です。通常走行時に起こる場合はABSではありません。
振動はハンドルのみですか?ペダルにも返ってきませんか?
経験上、このような現象は車種問わずよくある現象です。
原因は、ブレーキディスクの歪み、または偏摩耗、パッドとの当たり面の不良などが考えられます。
対処としては、ディスクローターの研磨または交換+パッドの交換でほぼ100%直ります。
タイヤとホイールがずれる
急ブレーキや急発進をした場合に、ホイールとタイヤがズレてしまうことがあります。
その結果、タイヤバランスが崩れて高速走行時に微振動が発生します。
10年前と比べると、タイヤ、ホイールの技術が上がったのでレーシングカーは、殆どリムズレが無くなりました。
一般車も、急ブレーキを踏んでしまった時、ズレる可能性があるのでチェックしてみて下さい。
ホイールとタイヤのリムがズレると、ホイールバランスが狂ってしまい、微振動が出てしまう事がありますので高速道路で、振動が起きていると思われる方はお近くのタイヤ専門店でチェックを!!
詳しく聞いてみると、回転重量バランスが結構狂っているとのこと。これは、大パワー車でホイールとタイヤが馴染む前にパワーを掛けると、ホイールとタイヤが空回りしてしまってズレてしまうんだそう。実はタイヤ交換後の1週間くらいはテープを貼ってモニタリングしていたんですが、、その後にズレたんですね〜きっと。。ホイールバランスを調整し直してもらうことに。
タイヤ内部のカーカス(ワイヤーベルト)切れ
自動車のタイヤの内部には、カーカスやベルトといったような金属ワイヤーがたくさん入っていて、それらがタイヤに加わる力を受け止めています。
何らかの原因で金属ワイヤーが切れてしまった場合、タイヤが異常変形してしまい、それによってハンドルに振動が伝わることがあります。
例えば、上記の写真では摩耗によって細い金属ワイヤーが表面に露出切断してしまっていることがわかります。
写真ではわかりにくいですが、この状態だとワイヤーが切れている部分は膨らんでしまっていて、タイヤの接地面はとてもボコボコしてしまっています。
上記のように摩耗が進んでいなくても、特に値段の安いアジアンタイヤなどは強い衝撃を受けたりするなどして金属ワイヤーが切れてしまうこともあります。
そのような場合のカーカス切れの確認方法は、タイヤを車から取り外し、手でタイヤのトレッド面をグルッと一周なでてでてみてください。
一部だけボコッとしているようなところがあれば、その部分の金属ワイヤーが切れてしまっています。
対処法としてはタイヤを新しいものに交換すれば、ハンドルのブレを解消することができます。
最後に一言
今回は、高速でハンドルが小刻みにぶれる原因についてお話しました。
高速でハンドルがぶれる原因の大部分はタイヤバランスを取ることで解消しますが、お店で何度タイヤバランスをとっても高速領域でハンドルの小刻みなブレが解消しない場合、タイヤの重量バランスが原因ではない可能性も考えられます。
したがって、そのハンドルのブレの原因が何なのか、しっかりとその原因を見極め、それぞれの原因に応じた改善策を施工することが大切です。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!