最近、我が家のBMW(E46、約7万キロ)のアイドリングが不安定になってきました。
今のところエンストするというレベルにまでは至っていないのですが、この時代のBMW車はアイドルバルブ(ISV)にカーボンが付着蓄積することによって、アイドリング時の吸気量の調節が上手くいかず、アイドリングの回転数が不安定になるというトラブルが多いようです。
この症状を改善するためには、①アイドルバルブの交換(部品代2~4万円前後)するか、または②アイドルバルブを清掃して内部に付着しているカーボンを取り除く必要があります。
ネットでいろいろ調べてみると、新品アイドルバルブへの交換は最終手段という位置づけになっていて、多くのBMWオーナーは定期的にアイドルバルブの清掃を行うことで、このようなトラブルを回避している模様・・・。
普通ならショップやディーラーに新品部品への交換作業を依頼するところなのですが、予算の関係上、「なんとか自分でアイドルバルブを清掃することができないか?」ということで、アイドルバルブのDIY清掃に挑戦してみました。
作業時間は素人の私の場合で4~5時間程度という感じで、そこそこ大変でしたが、なんとかやり遂げることが出来ました。
今回は、そんなアイドルバルブの清掃によるメンテナンスの方法について、それに必要な工具などの紹介から具体的な手順まで写真を交えながら詳しく解説していきます。
アイドルバルブを清掃するために必要なもの
まずはじめに、アイドルバルブを清掃するために必要なものについてお話していきます。
プライヤー
まずはじめに用意しておきたいのがプライヤーです。
こんな感じで、プラスチックでできたリベットを取り外す時に使います。
トルクスレンチ(ヘックスローブ、T30、T40)
次に準備しておきたいのが、トルクスレンチ(ヘックスローブ、六角レンチではなく星型のもの)です。
マイクロフィルターの受け皿を取り外したり、エンジンについている部品を取り外したりする時に使いますので、T30とT40という2種類のサイズのトルクスレンチを準備しておきましょう。
レンチ(10mm、8mm)
レンチは、ホースバンドを外したり、エンジン周りの部品を取り外したりする時に使います。
8mmと10mmのレンチを準備しておきましょう。
ちなみに、8mmのレンチはホースバンドを取り外す時に使うものですが、小さなマイナスドライバーで代用することも可能です。
エンジンコンディショナーとパーツクリーナー
アイドルバルブに付着したカーボンを清掃する時に使うのが、エンジンコンディショナー(キャブクリーナー)とパーツクリーナーです。
汚れをふき取るために使うボロ布も準備しておくと良いでしょう。
シリンダースプレー
シリンダースプレー(鍵穴などに使う粉状の潤滑剤、300~400円)は、アイドルバルブの清掃後の潤滑剤として使います。
シリンダースプレーは一般的な潤滑スプレーと違って、粉状でベタベタしないもので潤滑を持たせることができますので、一般的な潤滑スプレーなど同様に潤滑を得つつ、埃などの付着を妨げることができます。
アイドルバルブの具体的な洗浄方法
ここからは、アイドルバルブDIY洗浄の具体的な方法についてお話していきます。
エアクリーナ周りのパーツを外す
まずはじめに、エアクリーナー周りのパーツを外していきましょう。
エンジン前方の方にあるカバーを外すために、赤矢印のところにあるプラスチックリベットを外していきます。
プラスチックリベットはプライヤーなどを使って、中心にある芯を上に引き上げてあげることで取り外すことができます。
プラスチックリベットを取り外すと、こんな感じでカバーを取り外すことができます。
次に、エアクリーナーの上についているカバーを取り外していきます。
まず、エアクリーナーの後ろ側にあるエアフロセンサーのところにある引っ掛け固定型の金属パーツ(2ヶ所、もう一箇所は裏側で見えていない)を外しておきます。
あとはエアクリーナーBOXの上蓋を止めている金属部品を5~6箇所取り外していけば、エアクリーナーの上蓋を取り外すことができます。
あと、この段階でエアフローセンサーも取り外すことができるので、取り外しておきましょう。
まずは、エアフローセンサーについているカプラーを取り外します。
そして、8mmのレンチまたは小さめのマイナスドライバーを使って、ホースバンドを緩め、エアフロセンサーを取り外していきます。
これでエアクリーナーBOX周りのパーツの取り外しは完了です。
マイクロエアフィルター周りのパーツを外す
次は、エンジン後方にあるマイクロエアフィルター周りのパーツの取り外しです。
はじめに、マイクロエアフィルターの上部を覆っているカバーを取り外していくのですが、このカバーはプラスチックの固定パーツで固定されています。
その固定パーツを手でクルッとまわしてあげれば、マイクロエアフィルターのカバーがフリーになりますので、カバーを手前に引き出してあげれば取り外すことができます。
カバーを外すことができたら、中にあるマイクロエアフィルター本体を取り外しましょう。
これは特に固定されていませんので、そのまま取り外すことができます。
次は、マイクロエアフィルターの受け皿の取り外しです。
用意しておいたトルクスレンチを使ってねじを緩め、外していきます。
受け皿のねじをすべて外し終わったら、受け皿の前方にあるプラスチックの配線カバーの蓋を取り外し、中を通っている配線2本を外していきます。
配線カバーを取り外し、中を通っていた配線をカバーの外に出すことができれば、後は受け皿を手前側に引っ張りながら取り外します。
これで大分エンジン周りがスッキリしてきましたね。
あと少しでアイドルバルブが見えてきますよ・・・と言いたいところですが、アイドルバルブはまだまだ奥の方にありますので、この辺りは根気強く一つ一つパーツを取り外していきましょう。
エンジンコンピューターの遮熱版の取り外し
次は、エンジンルーム右奥側にあるエンジンコンピューターの遮熱版を取り外していきます。
上の写真の手で持っている側とは反対側には、プラスチックリベットでゴムシール同士が固定されています。
押し込んではめるタイプなので、手でグリグリと引っ張ってあげれば簡単に外すことができますよ。
次に、遮熱版の上を通っているゴムホースや配線類を上に持ち上げ、フリーな状態にしておきます。
次に、遮熱版を固定しているプラスチックリベット(2ヶ所)を取り外しましょう。
後は、そのゴムホースと配線を上手く交わしながら手前上側に向かって引っ張ると、エンジンコンピューターの遮熱版を取り外すことができます。
インテークホース(上側)の取り外し
次は、インテークホースの上側を取り外していきます。
下の写真の赤矢印のところから中を覗き込むと、インテークホースを固定しているホースバンドが見えます。
このホースバンドを8mmのレンチ、または小さなマイナスドライバーを使って緩め、インテークホース(上側)を取り外しましょう。
このインテークホースには小さな径のゴムホースが2本接続されていますので、それは外さずにそのまま邪魔にならないところに移動しておきましょう。
エアインテーク可変装置の取り外し
次は、オイルレベルゲージのすぐ上にあるエアインテーク可変装置を取り外してきます。
エアインテーク可変装置は、2本のトルクスねじ(T40)で取り付けられていますので、トルクスレンチを使って取り外していきます。
次に、エアインテーク可変装置のカプラーを取り外しておきましょう。
後は、エアインテーク可変装置を手前側に引き出しながら取り出します。
さぁ、ようやくもう少しで目的となるアイドルバルブですので、もう少し頑張っていきましょう。
アイドルバルブの取り外し
次はようやくアイドルバルブを取り外していくステップです。
はじめに、アイドルバルブのカプラーを外しておきましょう。
次に、アイドルバルブを固定しているトルクスねじ(T40、2本)と、その固定金具を固定しているナット(10mm)を取り外しておきます。
これで目的のアイドルバルブがフリーになりますので、下にあるエアインテークバルブなどをうまく交わしながら、アイドルバルブを引き出します。
さっそく取り出したアイドルバルブの中を見てみると、カーボンで真っ黒でした。
ここからはエンジンコンディショナーやパーツクリーナーなどを使って清掃していきます。
清掃が終わったアイドルバルブは、こんな感じで銀色が見える程きれいになりました。
このままアイドルバルブを組み立てていってもいいのですが、あるサイトでここに粉状でべとべとしないタイプの潤滑剤(シリンダースプレー)を吹き付けておくことを勧めているところが合ったので、それを施工しておきました。
後は、元あった通りにパーツを組みつけていけば、アイドルバルブの清掃は完了です。
コンピューターの学習値をリセットする
これだけ大変な作業でしたので、この後すぐにエンジンを掛けて試し運転に行きたいところですが、BMW車の場合、給排気系のパーツ交換や清掃を行った場合、エンジンコンピューターのリセットをしなければ調子が良くならないことがあります。
そこで最後に行っておきたいのが、エンジンコンピューターの学習値のリセットです。
具体的なリセットのやり方は以下の通りとなります。
まずトランクを開けて、バッテリーのマイナス端子、プラス端子の順番で取り外し、一時間ほど放置していきます。
その後、エンジンを始動し、早速高速道路を5分ほど時速100km/hで走行しました。
その状態でアイドリングの状態を確認すると、Pレンジ、Dレンジ共に以前よりも若干回転数が高めに制御されているようで、あの不快な回転数の低下はなくなりました。
ちなみに、バッテリーの端子を外してしまうとメーターの時計もリセットされてしまいますので、時計が表示されている状態でメーター右側にある竜頭を強めに右や左に回してセットしなおしておきましょう。
最後に一言
今回は、アイドルバルブ清掃でアイドリングが不安定なBMW(E46)をメンテナンスする方法についてお話しました。
アイドルバルブの清掃は時間と労力がかかる作業ではあるものの、アイドリングの回転数が不安定であるという症状に対しては効果の高いメンテナンスです。
この年代のBMWオーナーの中には、2~3万キロ毎にこの作業を行う人もいるようですので、定期的に清掃するといいかもしれませんね。
是非参考にしてみてください。
それでは!