最近暑くなってきたので、久しぶりに車のエアコンをONしたのだけれど、エアコンが効いていないようで車内が涼しくなってこない・・・
あれっと思って吹出口に手をかざしてみると、冷えた風じゃなくてぬるい風が出ていたり、風の風量がそよっとしか出ていないなんてことがよくあります。
「カーエアコンが故障した・・・、これはもしかして車屋さんで修理してもらわないといけないの?」
そう思って、カーエアコンの修理費用の相場を調べてみると、驚くほど高くてびっくりしてしまいます。
- コンプレッサー交換;約5万円~
- ガス漏れ修理;約2~3万円
- コンデンサーファン交換;約3万円~
- 冷媒ガス補充;約3000~4000円
ただ、ここで知っておきたいことは、カーエアコンの不調の多くは完全に故障してしまったというよりも、少し調子が悪くなっているだけということが多く、DIYの知識やノウハウがある人であれば、自分の力でその不具合を直すことが出来ることがよくあります。
そこで今回は、カーエアコン不調の原因とその対処法について詳しくお話していきます。
A/CボタンがOFFになっている
春から夏の季節の変わり目でよくあることなのですが、冬はエアコンスイッチをOFFにしている(温風はA/CスイッチOFFのままでも動作するため)ことが多く、その状態で設定温度だけ下げてもエアコンの吹出口からは冷風が出てきません。
車のエアコンが故障したかなと思ったら、まずはこのエアコンスイッチ(A/Cのマークがある場合もある)をONにしてみてください。
ちなみに、アイドリングストップ機能がついた一部の車では、アイドリング中は自動的にコンプレッサーOFF(A/CスイッチがOFFの状態と同じ)になることがあります。
そのような機能のある車に乗っている場合は、走行中に冷たい風が出てきているかどうかを確認してみましょう。
なお、アイドリングストップ機能のON/OFFスイッチがある場合は、それを「OFF」にしてやればアイドリング中でもエアコンを作動させることができますので、ご参考まで。
エアコンの冷媒ガスが減ってきている
カーエアコンシステムは大きく以下の2つの部位に分けることができます。
- 空気を冷やすための部位(ヒートポンプシステム)
- 空気を循環させるための部位(送風ファンやダクトなど)
空気を冷やすためのヒートポンプシステムは、車内と車外をつなぐ配管内の冷媒ガスを循環させることによって車内に設置しているエバポレーターの温度が下がり、それによってそこを通過する空気の温度を下がるため、エアコンの吹出口からは冷たい風が出てくる仕組みになっています。
ここで知っておきたいことは、カーエアコンは家庭用のエアコンと違って製造上の問題から、エアコンを構成するパーツの接続部分や圧縮機と呼ばれる部品のシール部分が溶接などによって完全に密閉されているわけではありません。
出典)トラブルシュート(エアコン、クーラ編)|セドリック/グロリア 230 ハンドブック
そのためそれらの継ぎ手などから、どうしても年間約3~5gづつ冷媒ガスが抜けていってしまうという構造になっています。
この年間約3~5gという数字は適正に車が維持管理されているときの話で、特に冬場にエアコンをONさせず(圧縮機を使用せず)にヒーター送風だけを使い続けるような場合や、長期間車を使用しなかった場合などはエアコンの配管の中で冷媒と一緒に循環しているオイルが各部のシール部分にまでいきわたらず、シール部のオイルが切れ、そこから通常よりもたくさん冷媒が漏れ出してしまうこともあります。
ですので、年間約3~5gというのは状態の良い車の場合であって、そのような使い方をしている場合は、それよりもたくさんの冷媒が抜けてしまっているということを覚えておきましょう。
このカーエアコン特有の微量の冷媒もれについては、製造工程の簡素化やエンジンから直接エアコンの動力を得るという構造上仕方のないことと言えます。
だからといって、メーカーはその冷媒漏れとそれによるエアコンの性能低下に関する事実を無視しているわけではありません。
カーエアコンには冷媒を蓄えておく冷媒タンクのような部品(レシーバー、液溜め)がついていて、そこに5~10年かけて抜けていってしまう分の冷媒を予め余分に蓄えておくという設計になっています。
ただその冷媒漏れに対する対策が役に立つのは車が製造されてから5~10年が限度で、そこを過ぎてえしまうと、そこに蓄えられていた余分な冷媒(予備の冷媒)が全部なくなってしまうことになります。
その結果、カーエアコンは適正な運転状態を保つことができなくなり、徐々にエアコンの能力が低下していきます。
もしエアコンの性能が低下していってしまった場合、実際にどのようなことが発生するかというと、夏場だとエアコンの吹き出し口から冷たい風ではなくぬるい風しか出てこなかったり、冬場だとエアコンのスイッチをONにしても窓ガラスの曇りが取れないなどの症状が出てきます。
つまり、カーエアコンは部品が故障しているのではないのに、このような理由から冷媒が不足することでエアコンの性能が低下することがあり、そのような場合は、単純にその不足している分の冷媒を補充してやれば元に戻るということになります。
ただし、本当にエアコンが効かない原因が冷媒ガス不足であった場合は上記の方法で補充してあげればいいのですが、そうではなかった場合、ガスの過充填が原因で更に状況を悪化(パーツの故障など)させてしまう可能性があります。
ですので、以下の方法などで本当に冷媒ガス不足がエアコン不調の原因であることを確認してから冷媒ガスを補充するようにしましょう。
>>【補充ガスチャージ前に】車のエアコン冷媒量をDIYチェックする方法
なお、冷媒のガス補充は経験のある人以外はやらないほうがいいと思います。
ガスの補充だけならその辺のガソリンスタンドなどで結構安く作業してくれますので、はじめての場合はその作業風景などを見せてもらって、勉強してみるのもいいと思いますよ。
エアフィルター(またはエバポレーター)が詰まっている
先程はカーエアコンの空気を冷やす装置(ヒートポンプシステム)の冷媒ガス不足のことについてお話しましたが、ここからは空気を循環させる側の不具合でエアコンが効かなくなる原因についてお話していきます。
上の写真は、エバポレーターというアルミフィン状のパーツで、車内または車外から吸い込まれた空気はこのエバポレーター(低い温度になっている、約0~5℃ぐらい)を通過することによって温度が下がり、その冷えた空気がエアコンの吹出口から出て来るという仕組みで作動しています。
ただ、上記の写真のようにそのエバポレーターにホコリがたくさん詰まってしまうと、空気そのものが流れにくくなってしまうため、吹出口から出る風が弱くなってしまい、結果的にエアコンが効かないということにつながります。
特に古い年式の車の場合、新車の段階でエバポレーターの手前側に設置するはずのエアコンフィルターが未搭載のものがあったりするため、10年ぐらい経過すると上記のようにホコリっでエバポレターが詰まってきてしまいます。
これがエアコン不調の原因である場合、エバポレーターに付いたホコリを取り除いてあげれば、風が勢いよく流れ出し、しっかりと車内を冷やすことが出来るようになります。
ちなみに、カーエアコンのフィルター搭載車であっても、そのフィルターが詰まっても同じように風量が落ちてしまいます。
エアコンフィルターの交換目安は、長く使っても2~3年でしょう。
それ以上フィルターを無交換で使用していると、フィルターが詰まってエアコンの効きが弱くなったり、フィルターをすり抜けたホコリ(カーエアコンはフィルターが詰まってしまった時の故障を予防するための逃し穴を設置していて、そこからホコリがエバポレーターに入っていく)がエバポレーターに付着し、生臭いにおいが発生してしまうこともあります。
何年もエアコンフィルターを取り替えていない人は、下記の記事を参考にエアコンフィルターの交換と、エバポレーターの洗浄を行なってみると良いでしょう。
>>【車のエアコンがくさい】自分でエバポレーター洗浄する方法
パーツの故障
カーエアコンが効かなくなってしまった原因が冷媒漏れやエバポレーターのホコリ詰まりなどではなく、コンプレッサーや電装ファン、配管詰まりなどのパーツ故障である場合、業者に頼んで修理をしてもらう必要があります。
というのも、カーエアコンのパーツを交換しなければならない場合、専用の機械を使って①冷媒回収、②パーツ交換、③真空引き、④冷媒&コンプレッサーオイルの充填という流れで作業を進めていくことになるのですが、私達素人の場合、専用の高価な道具がないため、例え故障の原因を特定してパーツ交換ができるとしても、①、③、④の工程を自分で行うことができません。
では具体的にどこに修理を依頼すればいいのかということについては、オートバックスやイエローハットのような車用品専門店、ガソリンスタンドなどでは修理を依頼しないほうがいいと思います。
それらのお店では、冷媒の回収&再充填は可能ですが、エアコンの修理まではできないことが普通です。
また、ディーラーの場合、細かな原因を探ることはあまりしないので、ほとんどのケースでエアコンをアセンブリ交換(エアコン一式交換)となってしまいます。
その場合、エアコン一式を交換するため部品代が高額(20~30万円)になりることもありますので、事前に修理の見積もりを取ってみることをおすすめします。
このようなことから、カーエアコンの修理で一番オススメなのは車の電装屋さんです。
車の電装屋さんとは、自動車の電気系統に関わるパーツ(カーナビ、カーオーディオ、バッテリー、オルターネーター、エンジンコンピューターなど)の取り付けや修理を専門で行っているお店のことです。
このようなお店では、カーエアコンの事を熟知しているため、故障の原因を特定し、故障したパーツだけを交換していくというスタンスのお店が多く、交換部品が少なくなり、修理費用が大分安くなることが多々あります。
車の修理といえば、ディーラーや認定整備工場などが思い浮かぶと思いますが、一度車の電装屋さんを探して行ってみて、見積もりをもらってみるといいと思いますよ。
最後に一言
今回は、車のエアコンが効かない(冷えない)原因とDIY修理方法まとめについてお話しました。
カーエアコンは定期的にメンテナンスをしてあげないと、冷たい風が出てこなくなったり、風量が弱くなったりしてしまいます。
不調の原因がはっきりすればおのずと対処法も見つかりますし、場合によっては自分で修理することが出来ることもありますので、是非参考にしてみてくださいね。
それでは!