【法定12ヶ月点検】料金費用の相場と自分で点検整備する方法

自動車の法定12ヶ月点検の料金費用相場とDIY点検方法まとめ

忘れたころにやってくる自動車の法定12ヶ月点検・・・。

一般的に法定点検の時期が来たら行きつけのディーラーや自動車屋さんにお願いして、8000~12000円(点検費用)+α(整備修理費用)で点検整備してもらうことになると思います。

ただ、知っている人は知っているのですが、この法定点検は必ず自動車屋さんにお願いしなければならないものではなく、自分で行うこともできます。

そこで今回は、意外に知られていない自動車の法定12ヶ月点検のことについて、詳しくお話していきます。

スポンサードリンク






▼おすすめ記事▼


車内灯(ルームライト)が消えなくなる原因とその対処法まとめ
バッテリーのサルフェーションを除去する3つの方法
【完全保存版】自動車カーエアコンの冷媒ガスを自分で補充する方法
車の飛び石小キズのDIY塗装修理(サビ落としからタッチペンまで)
高速でハンドルが小刻みにぶれる13の原因まとめ

法定12ヶ月点検は自分でやってもOKなのか?

※以下の内容は文献を調べたりして理解した内容で、必ずしも正しいとは限りませんので、あくまでも参考程度として読んでいただくよう、お願い致します。

まず、一番気になることと言えば、「法定12ヶ月点検を自分で行なってしまってもいいのか?」ということだと思います。

このことについては、国土交通省の以下の文章が参考になると思います。

定期点検整備は、一般的な構造・装置の自動車に関し標準的な使用を前提として、定期的に行う必要のある点検を定めたものです。日常点検整備は常日頃から行う簡単な点検であるのに対し、定期点検整備は一定間隔ごとに行う、少し大がかりな点検整備です。これもユーザーの方の義務となっていますが、専門的な知識・技術も必要なので、整備工場に持ち込んで実施しても問題ありません。

引用)自動車の点検整備|国土交通省

ここで理解しておきたいのは、以下の2点。

  • 定期点検整備(法定点検のこと)を行うのはユーザーの義務
  • 専門的な知識や技術がなければ、整備工場に依頼してやってもらっても良い

つまり、専門的な知識や技術がある場合、自分で法定点検を行なっても良いということになります。

ここで疑問に思うことは、「自動車整備士の資格を持っていない人でも、自分で法定点検を行なってもいいの?」ということではないでしょうか?

このことについては、以下の書籍が参考になると思います。

■どこで修理をするのか

自分の自動車の修理は、自分でできるなら資格のない運転者が行なっても問題はありません。また、「タイヤがパンクした」とか、「カーオーディオが壊れた」ということであれば、資格のない人が有償で修理することができます。しかし、「分解整備」を伴う修理を資格のない人が、有償で行うことはできません。「分解整備」を業務として行うことができるのは、国から指定・認証された場所で、国家資格のある人に限られています。

引用)P14 自動車整備が一番わかる|技術小論社

つまり、自動車整備士の資格は業務として他人の車を分解整備する際に必要な資格ということで、自分の車を自分で点検整備することに対する資格は必要ない(存在しない)ということが分かります。

日本では自動車の点検整備はお店で行うのが当たり前ですが、ドイツなどのヨーロッパ地域ではできる範囲はユーザー側で点検修理していくというような風潮があります。

ただ、先程の国土交通省のHPにも記載があったように、定期点検整備は日常点検に比べて少し大がかりな点検整備となりますので、車体をジャッキで持ち上げ、特殊な道具を使ったりしなければ、点検できない項目もでてきます。

点検作業にも危険が伴うこともありますし、適切な点検整備がなされなかった場合、自動車が走行中に危険な状態に陥ってしまうこともあります。

ですので、先程の国土交通省のHPでも、「定期点検整備(法定点検のこと)を行うのはユーザーの義務」なのですが、「専門的な知識・技術も必要なので、整備工場に持ち込んで実施しても問題ありません。」という風に表現されています。

なお、この法定12ヶ月点検を行うのはユーザーの義務なのでやらなければならない(できないのであれば、自動車屋さんにお願いしてやってもらう)べきものなのですが、罰則規定はないため、法定12ヶ月点検を行なっていなくても、特に罰せられることはありません。

ただし、法定点検を行なっておらず、そのことが原因で自動車の状態が保安基準に違反するような状態になっていた場合、地方運輸局長から点検整備を勧告される事になります。

4  地方運輸局長は、第一項の規定により整備を命ずる場合において、当該保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態が、劣化又は摩耗により生ずる状態であつて国土交通省令で定めるものであり、かつ、当該自動車について、点検整備記録簿の有無及び記載内容その他の事項を確認した結果第四十八条第一項の規定による点検で国土交通省令で定めるものが行われていないことが判明したときは、当該自動車の使用者に対し、当該点検(第一項の規定により整備を命ずる部分に係るものを除く。)をし、及び必要に応じ整備をすべきことを勧告することができる。

引用)道路運送車両法 第四章 道路運送車両の点検及び整備 第五十四条

これらのことを総合的に判断して、自分で法定12ヶ月点検をしたほうが良いのか、または自動車屋さんなどにお願いしたほうがいいのか判断してもらえればと思います。

自分で法定12ヶ月点検するために必要なもの

ここからは、自分で法定12ヶ月点検するために必要なものについてお話していきます。

点検整備記録簿

法定12ヶ月点検で必要な点検整備記録簿1

まずはじめに、法定12ヶ月点検を行うために必要なものといえば、点検整備記録簿です。

()点検整備記録簿は、点検の結果と整備の概要を記録、保存して、自動車の維持管理に役立てるためのものです。点検整備記録簿を確認することで、過去の点検整備の記録を確認することができたり、消耗部品の交換時期を判断することも可能になります。

点検整備記録簿は、自動車に備えつけることになっており、一定期間保存することが求められています。(3ヶ月、6ヶ月点検対象車は1年保存、1年点検対象車は2年保存)

引用)自動車の点検整備|国土交通省

点検記録簿の中身はこのような感じになっていて、法定12ヶ月点検に該当する箇所の点検(26項目)を行いながら、点検項目に対してどのような処置を行ったかということについて「✔」や「アルファベット記号」などを記入することによって、どのような点検整備が行われたかということについて詳細な記録を残しておくことができるようになっています。

点検記録簿のチェックの付け方

点検整備記録簿のチェック例

実際に、法定点検整備を行なった後の記録簿(記入例)がこちら。

法定12ヶ月点検の点検整備記録

こんな感じで、法定12ヶ月点検整備の項目に記録を記入していきます。

この点検記録簿は、一般ユーザーでも、陸運局の中にある代書コーナーや、自家用自動車協会などで購入(150円程度)することができます。

ただし、自動車屋さんなどは自動車整備振興会というところで販売してもらっているようですが、素人には販売できないということで、断られました。

なお、インターネット上にも法定12ヶ月点検の整備記録簿のフォーマットがありますので、それを利用して点検記録を残してもOKですので、ご参考まで。

点検整備ステッカー

次に必要なものは、フロントガラスなどの上の方に貼っておく点検整備ステッカーと呼ばれるものです。

自動車の法定12ヶ月点検の料金費用相場とDIY点検方法まとめ

と、いいたいところなのですが、実はこの点検整備ステッカーは貼っていなくてもOKなものだそうです。

というのも、素人がこの点検整備ステッカーを手に入れようとしても、自家用自動車協会でも、自動車整備振興会でも、「業者の方にしか販売しておりませんので・・・。」という感じで販売してもらうことができませんでした。

気になっていろいろ調べてみると、このようなことがわかってきました。

自動車のフロントガラスには検査標証(車検ステッカー)以外のステッカー類の貼り付けはダメって規定があるのですが、点検ステッカーは自動車整備振興会等の業界団体が点検実施率を上げる為に許可されたらしく、有効期限内においてのみ貼りつけできます。

逆に、期限を過ぎたステッカーは剥がさないと保安基準に抵触してしまうって事です。

だから、期限切れのステッカーは剥がす必要があるので、「とりあえず貼っておこう」は間違いです※

引用)点検整備済ステッカーは必要?|Why don’t you do your BEST?

本当に期限が切れたものを貼っておいてはダメなのか知りたくて、点検整備ステッカーの裏を見てみると、期限が切れた瞬間に外さなくてはダメというわけではなく、ステッカーの色が変わるタイミングなどで剥がしておかなければならないようでした。

点検整備ステッカーの裏に期限切れを貼ってはダメと記載があった

このような理由から、一般ユーザーが自分で法定点検を行う場合、点検記録簿を自動車に備え付けていることが重要で、点検整備ステッカーは特に貼ってなくてもOKということでした。

法定12ヶ月点検に参考となる書籍

自分で法定12ヶ月点検を行う際、点検整備記録簿にある項目を具体的にどうやって点検していけばいいのか分からず困ってしまうことと思います。

そんな時に役立つのが、このような参考書籍です。

自動車定期点検整備の手引

私が法定点検の際に愛用しているのは、日本自動車整備振興会が発行している「自動車定期点検整備の手引」と呼ばれる本です。

この本は、法定点検整備の項目ごとに、どのように点検整備を行えばいいのかということについて、図などで分かりやすく説明してくれています。

自動車定期点検の手引2

ただ、この本はネットや一般の書店では取り扱っていないことがほとんどで、各地域にある自動車整備振興会というところで、約1300円で購入することができます。

私が知る限り、法定点検整備をするにあたって役に立つ書籍はこの本ぐらいでしたので、興味のある方は購入してみてください。

点検整備に必要な道具や検査機器

法定12ヶ月点検を行うためには、それなりの道具や検査機器が必要になります。

車種や点検後の修理内容によって必要な物が異なってきますので、一つ一つ紹介するのはやめておきますが、普段から自分で自動車の整備を行っている人ならほぼほぼ必要なものは揃っていると考えてOKだと思います。

ただ、点検項目の中にある排ガスの状態をチェックするための排ガスセンサー(HCやCOの濃度を測定できるもの、新品で購入したら20~30万円)を持っている人は少ないと思います。

このように素人では点検が難しい項目がある場合は、その部分だけ自動車屋さんにお願いするというのもありだと思います。

ユーザー車検をやったことがある人などは知っているのですが、テスター屋さんといって、ユーザー車検を受ける前に車検と同じ内容の検査と調整を行なってくれるお店があって、そこに行けば2000円程度で排ガスチェックを行なってくれますので、ご参考まで。

法定12ヶ月点検を自分で行うメリットについて

まずはじめに、法定12ヶ月点検を自分で行うメリットについてお話していきます。

点検費用を節約できる

法定12ヶ月点検を自分で行う一番のメリットは、点検費用を節約できるということです。

一般的に、法定点検にかかる費用の内訳は以下のようになっています。

  • 点検料金;8000~10000円程度
  • 部品代;交換が必要な部品が合った場合のみ(オイル代なども含む)
  • 工賃;交換整備が必要な場合のみ

自分で法定点検作業を行なった場合、上記の点検料金が必要なくなりますので、その分節約になります。

ただし、自分で点検作業を行なったとしても、交換が必要な部品があったりした場合、部品代などは別途必要となりますので、財布からでていくお金が完全に0円になるというわけではありませんので、ご注意を。

車の状態をしっかりと把握できる

法定12ヶ月点検を自分で行うと、車の状態をしっかりと把握することができます。

例えば、左後ろのブレーキパッドが残り◯mmだったから、もうちょっとしたら交換時期だなとか、シャフトブーツにヒビが入ってきていたから、次の車検までには交換しておこうとか、車のメンテナンス計画を立てられるぐらいに車の状態を把握することができます。

次に交換すべき箇所が分かっていたら、良いパーツを安く仕入れたり、、暇な時に余裕を持って交換作業を行えますし、その分次回の車検費用の節約にもつながりますね。

車に詳しくなる、DIYスキルが上がる、達成感がすごい!

法定12ヶ月点検を自分で行うようになると、点検整備作業を通じて、車の構造に詳しくなったり、DIYスキルが上がります。

実際に物を見たり、触ったりして作業することで得られる経験値は、本やネットなどで勉強することの何倍にもなります。

ネジ一本を例にとっても、固着しているネジをどうやって外したらいいのかとか、どうすれば規定されたトルクでネジを締めることができるのかとか、どうしてこのネジは緩んでしまっていたのかとか、もう本当に自分の知らない事ばかり・・・。

これは一見、デメリットのように感じる場合もありますが、その場面を乗り切った後はその分車のことに詳しくなったことになりますし、DIYスキルの幅も広がったことになります。

法定12ヶ月点検を自分でやりきった後の達成感は最高です。

法定12ヶ月点検を自分で行うデメリットについて

ここからは、法定12ヶ月点検を自分で行うデメリットについてお話していきます。

とにかく面倒くさい

法定12ヶ月点検を自分で行う一番のデメリットはとにかく面倒くさいということです。

一度、点検整備記録簿の項目を見てもらうと分かるのですが、全てしっかりとチェックしていこうとすると、点検だけで半日~1日ぐらいはかかってしまいます。

法定12ヶ月点検の点検整備記録

それに加えて、整備しなければならない箇所が見つかった場合は、部品を取り寄せて、その後交換作業を行なっていかなければなりません。

そこまで考えると、点検整備でトータル1~2週間かかってしまうこともざらにありますし、自分で作業できない場合、結局業者に整備を依頼しなければならなかったりもします。

そういう意味で、法定12ヶ月点検を自分で行うのはとにかく面倒くさいことだということを理解しておくといいと思います。

工具や検査機器にお金がかかる

法定12ヶ月点検をしっかりとやり遂げるためには、それなりの工具や検査機器が必要になります。

普段から自動車の整備などを行っている人は、既にいろんな工具を持っていることと思いますが、これから自動車整備に手を付け始めようとしている人の場合、法定12ヶ月点検をや理遂げるためにそこそこの出費(業者に依頼するより高くなるかも?)を覚悟しておいたほうがいいでしょう。

メーカー保証などが受けられなくなる可能性がある

もう一つ、法定12ヶ月点検を自分で行うデメリットとして忘れてはいけないことは、メーカー保証などが受けられなくなる可能性があるということです。

元・消費者相談窓口担当です。

保証の前提はディーラーでの定期点検ということになっております。

エンジンオイルやフィルター等の交換有無で壊れる場合(ボディーブローのようにダメージが蓄積する場合)もありますのでメンテナンスレコードがしっかり証明できることを前提としております。

他の方が言っているように前提や建前よりもお客様との付き合いを重視して、定期点検に入ってきていなくてもよほどのことが無い限り、保証期間内は面倒見てくれますよ。

ただし、上記のようにダメージが蓄積していくようなものにより壊れた場合には保証を拒否されることがあります(この案件を仲介したことがあります)

引用)メーカー保証と定期点検|教えて!goo

メーカー保証やディーラーの無償対応などは、対応可否のラインがはっきりしないものなので、保証期間中などはこちらに少しも非がない状態を保持、つまり、ディーラーで法定点検を受ける(自分で法定点検をしない)ほうがいいかもしれませんね。

最後に一言

今回は、【法定12ヶ月点検】料金費用の相場と節約DIY点検の方法とその手順についてお話しました。

法定12ヶ月点検を自分で行う際のポイントは、自分でできるところは自分でやる、業者にお願いするところはお願いするという判断を如何に上手くやるかということだと思います。

私の場合は法定点検費用を節約するという視点だったのですが、私の知り合いの中には、自分が乗る車を他人に触らせるのは怖いから、自分で点検整備やユーザー車検をしているという強者もいたりします。

繰り返しになりますが、法定12ヶ月点検を行うのはユーザーの義務ですので、自分で行うにせよ、業者に依頼するにせよ、時期が来たら指定された点検項目の点検整備を行うようにしてくださいね。

それでは!

その他
DIYメンテナンスマニア

当ブログ運営者。幼い頃からエンジン付きの乗り物に憧れがあり、大人になってから大好きな車のメンテナンス整備(ユーザー車検含む)を存分に楽しんでいる。自動車の個人売買(ヤフオクやメルカリなど)の経験もあるため、自分で名義変更手続きする方法も熟知。メカを楽しむ人向けにDIYメンテナンス情報をお届けしている。

DIYメンテナンスマニアをフォローする
DIYメンテナンスマニア
タイトルとURLをコピーしました